Opening Phase

Master Scene
「blind」
ScenePlayer:none



叫ぶ声。怒号、悲鳴。入り交じる声。


近づいてくる誰かの影で、僕の視界は塗りつぶされる。
絶望みたいに真っ黒に。
その影に、取り巻く拒絶の目が残像として映る。
それが恐くて。それが悲しくて。

不快な音で、影が赤く染まった。


ただ、拒絶しないで欲しかった。ただ、受け入れて欲しかった。
例え忌まわしい命でも。






Opening1
「芽吹き」
ScenePlayer:美月 奏
Place:訓練場跡地(自宅)
time:朝
entrance:不可

奏: #1d10+36 [登場]
奏/dice:1d10=(9)=9+36=45

GM:今日も、鎖の街に朝が来る。
GM:君はいつものように起き出して、いつものように朝の支度をする。
GM:君にとっては、ずっと昔から、変わらない朝。
奏:起きて。銃の整備。動作を確認。試射。
GM:変わったことと言えば、ここに残ったのが君だけだと言うことくらいだろう。
GM:“先生”が死んで、もう6年にもなる。
奏:同時に朝の支度を行なう。何時ものようにパンとトースト。
GM:元々しっかりした組織というわけでもなく。纏める者の居なくなった“子供達”は、ごく自然な流れで散り散りになっていった。
GM:残ったのは、“先生”の元で暮らしていた君を含めて、たった三人。
GM:物好きな連中で、6年経った今も飽きずに“訓練”をしようと押しかけてくる。
奏:何時ものように一人分。そして一つだけ手の込んだスープ。
GM:街の外れ。簡素な家ではあるが、馴染みのある建物。
奏:一連の動作が終了するとと共に。溜息を一つついて食卓につく。
GM:食卓に近い窓からは、少し開けた庭が見える。といっても、窓は継ぎ接ぎだわその向こうの地面は水たまりだらけだわで、決して優雅な情景ではない訳だが。
奏:がらんとした部屋で。もそもそと食事を始める。
GM:だがそんな庭の隅にも一丁前に整えられた“花壇”と呼ぶべき場所がある。
GM:花やら木やらが一応整然と植えられていて、君はその世話も引き継ぐことになってしまっていた。
GM:…前は、誰かが管理していたはずなのだが。誰だったか。
奏:昔は誰かが行なっていた。でも──
奏:今は自分しかいない。
奏:上呂を持って。水を汲む。
GM:まあ、仲間内の誰かであるのは確かだろう。“二人”に聞けば思い出すかも知れない。
GM:そろそろ二人が…“物好き”な幼なじみ達がやってくる頃だろうか。
奏:トーストを席に半分残したまま。花壇に水をやる。
奏:正直。あの二人がいると。あの頃を思い出してしまう。でも離れられないのは。──自分の未練なのだろう。”鎖”。
奏:──溜息。
GM:と。後ろでドアをノックする音。
奏:「──英ちゃん?」
奏:慎ならノックをよく忘れる。
GM:返事はないが、彼以外に訪問者も思い当たらない。
奏:男物のジーンズポケットにSIG SAUER P226 を突っ込んで。
奏:やや警戒しつつもドアに向かう。
GM:君が近づき、ノブに手を伸ばした瞬間。
GM:握ろうとしたドアノブが凍り付く。
奏:「────ッ!」
GM:そのままドアごと凍り付き、光の帯で砕かれる。
奏:バックステップで腰に提げていたSIGを抜き放ち、ダブルタップ(二連射)。そのまま距離を取る。
GM:「…………。」ふらり。
GM:ドアが無くなってしまった入り口の向こうに。
GM:いつも通り。いつも通りの笑顔で、英治が立っていた。
GM:その目が、どこか虚ろに遠くを見ている事を除いては。
奏:「────英ちゃん。冗談はやめて」
英治:「…おはよ、奏ちゃん。」
英治:「……冗談?いやだな、違うよ…。」
GM:呟くと、楽しそうな笑い声を上げて。
英治:「……俺、奏ちゃんを殺しに来たんだ。」
奏:「──嘘でしょ?」
英治:「嘘なんかじゃないよ。…俺ね、奏ちゃんのこと、大事に思ってるんだ。大事な仲間だし…」
奏:拳銃を両手に構える。少女に今残されたのは無骨な拳銃。
奏:「だったら!」
英治:「最近、おかしくなる奴増えて、物騒でしょ?」
英治:「だから、俺が先に殺してあげる。そいつらなんかに殺されちゃったら、困るしさぁ…。」手を翳す。空気が凍り始める。
奏:「────ッ……英ちゃん!」
奏:何かおかしい。おかしい。おかしい。心の何かが壊れる感覚。
GM:正に、冷たい光が放たれようとする。瞬間。
英治:「―――!!!」急に英治の動きががくんと固まる。
奏:もしかして。慎もこんな風ならわたしは──
英治:「…うっ…あ……。」身体を屈め、頭を抱えて苦しみ始める。
奏:「英ちゃん?」
奏:無警戒に構えを解いて。近寄る。
英治:「っく…ぐ…。……奏、ちゃん…。」顔を上げて苦しげに君を見る。その目は、いつもの彼に見える。
英治:「…俺……っ…ごめ…。…抑えられ…な…。」
奏:「大丈夫?英ちゃん。しっかりしてよ!」
英治:「……のん…ちゃん、が…生きて……。探し…。……きっと…治して…。」どうにか言葉を繋ぎ、伝えようとする。
奏:「のんちゃん………」
GM:名前であることは想像できる。が、その名前を君は思い出すことが出来ない。
奏:記憶を辿れ。あの時から変わらなかった記憶から。引き出せ。
GM:ただただ、いたずらに心がかき乱されるだけ。
英治:「……逃げ………かな、で…ちゃ………っ。」
奏:「英ちゃん!しっかりしてよ!」半ば泣きそうな声と表情で。栄治の体を揺さぶる。結果、手が凍傷になろうとも。
奏:──グッ。
奏:腹に力を入れて。歩みを。
GM:英治は、沸き上がる何かを押しとどめるように、身体を丸めて耐えている。
奏:先生が非常時に、と街中に逃げる為に。
奏:かまどに秘密通路を作っていた。誰も使う気が無かったのかほんの数人しか知らない。
奏:「────おいで。わたしの”玩具”」
奏:使い慣れた長銃を手にして。煤だらけになって街中に逃げる。
GM:凍る空気から逃れ、鎖の街の朝に飛び出した。

Opening2
「茶色い土の子守歌」
ScenePlayer:高坂 慎
Place:市内/廃墟群の一角
time:OP1の前日(昨日)/夕方
entrance:不可

慎:#1d10+31
shin_:1d10=(1)=1+31=32
慎:32%へ

君は、夢を見ていた。

夕焼けの空、川の流れ。
赤い逆光の中に、いくつかの影が見える。
見覚えのある場所。ここは…『訓練場』?

ああ。と、君は思い当たる。
これは過去の記憶だ。
“先生”が死んだときの記憶。

“先生”が倒れていて、その向こうに、影が見える。あれが、犯人だ。
駆け寄ろうと思うのに、身体は動かない。
こみ上げるのは怒り、悲しみ、恐怖、無力感。

でも、何故だろう。上手く思い出せない。
“先生”を殺したあれは――どんな奴だったろう。
思い出そうとするけれど、いつも霞がかったようによく見えない。
見ようとすればするほど、何か心が押し潰されるような、そんな感情が沸き上がってきて、視界が歪む。

そして影は背を向けて、ふらふらと遠ざかる。
君は何も出来ないまま、それを見送る。


これは過去の記憶だ。


慎:「──せい、……先生!」
??:「――君、慎君?」
GM:遠くから、声がして、君の意識は浮上する。
慎:「………え、あ」
慎:はっ、と。自分の声と、遠くの声で眼が覚めた。
昇:「大丈夫かい?なんだか、うなされていたようだけど。」君を見下ろす顔。
慎:「あ、ううん。悪い、変なトコ見せてゴメンな。びっくりしたろ」
慎:深呼吸。二度、三度。それから安心させるような、何時もの笑顔を浮かべなおして。
昇:「いやいや。こっちこそ、待たせてしまって済まないね。片付けに思ったより時間がかかって。」軍手をはめたままの手で、頭を掻く。
GM:仕事を片付けて帰る途中、昇の姿をみかけて。作業が一段落するまで待っていたのだったと思い出す。
GM:町の中心に近い廃墟の一角…少し拓けた場所にある、小さな畑。
慎:「お互い様、ってことでヒトツ。何、昇も好きだね。土いじり」
慎:「今は何を育ててるの?」
昇:「あー。僕はこれくらいしか出来ることがないからなあ。」あはは、と笑って。
昇:「そろそろ茄子とかが収穫どきかな。もう少ししたら、冬に向けてまた植え替えとかあるけど。」
GM:昇はいつもここで農作業をしている。
GM:一時姿が見えなかったのだが、数日前に戻ってきているのを見つけて。
慎:「卑下する事じゃないんじゃないかな。少なくとも昇が育ててるものが成長していくのを見るのは、俺も好きだから。大分前だけどさ、あの大根は美味しかったし」ほややん。
慎:「奏も英治も──美味しいっていってた、アレは。」
慎:夕暮れに思い出すのはあの日の事。それもまあ、今は胸の中において。
GM:君は何年か前から、訓練場への行き帰りに通りかかるここで、時間を潰すのが習慣になっていた。
昇:「……友達は、元気にしてる?今日は“訓練”だったんじゃないのかい?」君の言葉の何処にか。視線を逸らし。
慎:「あー、うん。今日はさ、仕事入ったから訓練はナシ。でもさ、あいつらも相変わらず元気だよ」何も疑うことのない、日常。明るく笑い。
慎:「………そういう昇はなんか、元気ないことない?」
昇:「仕事…か、そっか。君も大変だねえ。」
慎:目線を逸らされた事にはて。
昇:「そう、かい?…ちょっと身体鈍ってるのかもなあ。」笑う。
昇:「さて。待たせておいて悪いけど…そろそろ、用事があるから行かなくちゃ。」言って、野菜やらなんやらが積まれた籠を持ち上げる。
慎:「俺が大変なくらい、この街も大変だし。──うお、ちょっと待って。仕事の報酬にさ、これ貰ったんだ。昇にもやるよ」ぬ。慌てて。
昇:「ん、なんだい?」一旦籠を置いて。
慎:子供だましのようなお菓子を、ひとつふたつ昇に渡して。
慎:「んじゃま、そっちも用事頑張れよ!」明るく笑って。
昇:「…あは。…ありがと。ああ、そうだ。」
慎:「うん?」はてな。
GM:言うと、昇もまたなにかごそごそと取り出し。
昇:「ハイこれ。」と、軍手をはめた手を差し出す。手には小振りの袋。
慎:「なんだろこれ。種?」袋を受け取って、まじまじ。
昇:「ちょっとしたお裾分けだよ。僕も良い物貰っちゃったし。」
慎:「あははは。ありがとな、昇!」
GM:中には今し方収穫したのであろうエンドウ豆なんかがいくつか。
慎:よーし、これを今から奏のトコにでも持っていって見せびらかそう。ウキウキしつつ
慎:「じゃあな、気をつけていけよ!」
昇:「それじゃあ、気をつけてね。……また。」籠を持ち上げ、手を振って去っていくよ。
慎:夕暮れの彼方に消えていく、彼の背を見送る。─僅かな不安。
慎:「………うん、じゃあ、またな」
慎:首を横に振って、よし。気を取り直して。幼馴染達に会いに、自分も道を歩き始めた。

Opening3
「予感-上り坂」
ScenePlayer:草野 操
Place:UGN黒巣市支部
entrance:不可

操:#1d10+31
操/dice:1d10=(6)=6+31=37

GM:今日も変わらず、黒巣での時は流れていた。
GM:いつも通り見回りをして、戻ってきてみたら、六会支部長に呼ばれていると聞いて、君は廊下を歩いていく。
GM:いつもの風景。曇天の窓。
操:「草野操、入ります」がちゃ。返事を待たずに扉を開く。
凡犬支部長:「……。」返事をしようとしてやめた痕跡と共に君を迎え入れる。
凡犬支部長:「お呼び立てして申し訳ありませんね。」苦笑して。
操:「いいえ、これが仕事ですから。…で、今回の用件は?」
凡犬支部長:「少し、気になることがありまして。調査をお願いしたいんです。」席を勧めつつ。
操:「調査…住民同士の抗争の激化についてですか?」
凡犬支部長:「そうですね…そうなります。」
操:自分の目にも余る最近の市内の現状に、思い当たり。
凡犬支部長:「まあ、良くあること、ではあるのですが。」言って、資料を差し出す。
操:黙ってその資料を受け取り、ざっと目を通す。
GM:最近市内で起きた殺人事件を知りうる限り集めた物といった感じ。載っているグラフは最近になって、件数がいきなり急勾配で上がっている。
凡犬支部長:「ジャーム化した住人が周囲の者を手に掛け、それを阻止しようとした別のものがジャーム化した者を殺す…。そんなケースに限定して。増えているんです。それも一週間ほど前から目に見えて。」
操:「図表になると途端に認識と把握がしやすくなりますね………連鎖式、か」
凡犬支部長:「どうにも、腑に落ちないと思いませんか。…何か、作為的な物がある、そんな気がしてならないんです。」
操:「ふむ」
凡犬支部長:「貴方には、いつも街の巡回をお願いしていますし、ついでで構わないんですが…。」調べてくれませんかね、と目で語る。
操:「物のついでならば、いくらでも」ぺらぺらと資料をめくって。
凡犬支部長:「単なる憶測、と言われてしまえばそれまでのこと。ですから。正規の任務にもしづらくて。」すみませんね。とまた。
操:「全ての事象には原因がある。ゆるやかな曲線であればともかく、このグラフは確かに異常です」
GM:と、そこで机の上の電話が鳴る。
GM:失礼、と断りを入れて。支部長は電話に出て、いくつか言葉を交わした後。
凡犬支部長:「……どうやら、また似たような事件が起きた様です。」受話器を置いて。
操:「憶測であれ、看過する訳にはいかないでしょう。処理班も休日が欲しいと嘆いていますから」
凡犬支部長:「そう言っていただけると助かりますよ。」
操:「“天雷”草野操、これより調査任務に就きます」形式張った決まり事をかわして。
凡犬支部長:「はい、よろしくお願いします。」居住まいを正し、頷いて。先程の電話の内容を簡潔に纏めたメモを資料に加えてくれる。
GM:場所は支部からさほど離れていない場所らしい。
GM:襲われた方はどうにか逃げた様だが、まだ追われている可能性が高いそうだ。
操:まずはその対象の確保…か。
操:心の中で呟いて、静かに支部長室を後にした。

Opening4
「予感-仮想」
ScenePlayer:津嶋 皓
Place:市内/各務社
entrance:不可

皓:#1d10+33
皓/dice:1d10=(10)=10+33=43
皓:げ。
GM:ハハハ(何

GM:何事か野暮用があって、君は各務に来ていた。
GM:用を済ませ、さっさと帰ろうと足早にロビーを歩いていると、ふと声を掛けられる。
男:「よぉ、津嶋じゃないか。」
皓:「……ああ、どうもお疲れ様です」
皓:言葉少なに目礼。
GM:君の同期に当たる男で、研究班の人間だね。
男:「また下界をはいずり回ってんのか?物好きだねぇ。」ニヤニヤと嫌な笑み。
皓:「そっちの方が性に合ってるものでね……何か用が?」笑いも怒りもしない、無表情のまま。
男→堂元:「いやよぉ。…面白い話があるんだ。下をうろつくんなら関係ない話でもないぜ?」馴れ馴れしく。
皓:この堂元って奴、どれくらいの仲ですかな? GM?
GM:うーん。まあ入った頃からたまに顔は見てたくらい。たまに話かけられる、って感じの。それなりに知ってるけど仲が良いって程でもない。…微妙な距離(何
皓:いえっさ。
皓:「話したいのか? なら聞こう。そうでないなら……」ふ、と目を逸らし、戸口へ視線を。
堂元:「せっかちな奴だな、相変わらず。…まあいい。」と、声を潜めて。
堂元:「噂…ってほどのもんでもないんだが…。ほら、今下の方でジャームになる奴が増えてるんだろ?」
皓:ああ、そんな話もそういえばあったな、と首肯して。
堂元:「ばらまいてる奴がいるって話が出てるんだってよ。どこかしら組織が動いたって話もあるし。ちょっと信憑性あるだろ。…お前もなんか聞いてるんじゃないのか?」
皓:「さぁね……。俺は俺自身に利益のある話しか興味を持てない、今は」だが、と。
皓:「それが……“繋がる”ならまた話は別だけどな」口中で呟く声。
堂元:「ふーん…“外回り”の多いお前なら何か聞いてるかと思ったんだけどな。アテが外れたか。」
堂元:「FHかUGNか…はたまた、テンペストかな。…ま、もうちょっと探ってみるとするか。」独り呟き。
皓:「堂元」
堂元:「ああ?」
皓:「おまえはそれに興味があるのか?」
皓:「……珍しいな。“下界”におまえが興味を持つとはね」嗤う。微かに。
堂元:「…ここは『退屈』、だからな。」ニィ、と笑みを返す。
堂元:「下が面白そうならそうするだけさ。…ああ、そうそう。」そのまま去ろうとして、ふと。
皓:「確かにな。退屈だ……紛らわすいいネタにはなるかな。……ん?」
堂元:「津嶋、お前もうちょっと管理とかちゃんとした方が良いぜ。噂になってんぞ。」殊更嫌な笑みを向ける。
皓:語尾に視線を投げ。
皓:「──何の話だ?」
堂元:「…またまた、とぼけちゃってぇ。…飼ってんだろ、“コレ”」小指を立ててみせる。
皓:「………」
堂元:「お盛んなこって、羨ましいねぇー。」ハハハ、と笑って去っていく。
皓:「何の話だか知らないけどな。そんな暇は無い」
皓:「……って、噂をばら撒いているのはアイツじゃないのか……?」去る背中にいささか疲れたように。
皓:まぁ、いい。
皓:「……“退屈”か。そんな暇は無いとは思っているが……」
皓:それが、“繋がる”ならば。──事件となるなら。調べる価値は“僕”にはある。
皓:ふん、と小さく鼻を鳴らし、戸口へと。……同じ、探索ならば、俺にはあいつの言う“下界”の方がましなのだ。きっと。